ラジオ(FMあまがさき、「中西優一郎のLaw・and・Order」の第54回目)に出演致しました。
「社員が借金をかかえて破産した…処分できる?」
私は、雑貨店を経営しています。
先日、ある男性社員が、消費者金融からお金を借り過ぎて、自己破産したことが分かりました。
これによりこの社員が担当していた取引先からのイメージが下がってしまいました。
このような場合、会社は、この社員を解雇することはできるのでしょうか?
また、一般的に、自己破産したら、どのような不都合が生じるのでしょうか。
というテーマでお話ししました。
社員の行為が社内外においてトラブルに発展した場合、会社がその社員を処分できるのか、処分するとしてもどのような処分が適切なのか、迷われることがあるかと思います。
無断欠勤、職場離脱、職場内での暴力、公金私用・横領等については、職場の秩序や規律に違反することが容易に判断できますが、本件のような職務外の私生活上の行為については、そもそも処分ができるのかを慎重に検討する必要があります。
社員は、就業時間の内外を問わず、企業の名誉・信用等を傷つけないようにしなければなりませんので、私生活上の行為であっても、会社の信用を失墜させ、事業執行に支障を生じさせた場合には、処分の対象となる可能性があります。
この点、自己破産は、破産者に再出発の機会を与えるために法律が認めた手段であり、自己破産が業務に支障が出ることは通常考えられないことから、原則として懲戒処分等の対象にはならないと考えられます。
もっとも、破産前に会社の金銭を使い込んだ等の事実があれば処分の対象となり得ますし、経理担当社員のように金銭を扱い金銭上の信頼を必要とするような業務に従事していた場合等は、業務の必要上、配置転換が正当とされる余地があります。
番組内容の概要
番組では、自己破産について、
「社員が自己破産したら解雇できる?」
「社員の私生活上の行為が処分されることはある?」
「会社はどう対応したらいいの?」
「自己破産したら、どんな不都合が生じるの?」
などについてお話ししました。
内容の概要は、以下のとおりです。
社員が自己破産したら解雇できる?
・解雇とは
・解雇の制約について
・社員の私生活上の行為と懲戒処分の関係
・自己破産の場合
・その他の場合(無断欠勤、職場離脱、職場内での暴力、公金私用・横領等)
会社はどう対応したらいいの?
・会社のとるべき対応は
・注意点
自己破産したら、どんな不都合が生じるの?
・破産手続開始決定の効果
・免責許可決定の効果
その他、自己破産で気を付けること
今後とも宜しくお願い致します。