ラジオ(FMあまがさき、「中西優一郎のLaw・and・Order」の第19回目)に出演致しました。
「社員がプライベートで会社の車を無断で運転し事故…会社の責任は?」というテーマをもとに、お話ししました。
社員が会社の業務で運転中に事故を起こした場合、原則として、会社は損害賠償責任を負うことになります。
これは、会社が、使用者責任(民法715条)を負うからです。
使用者責任とは、ある事業のために他人を使用する者(使用者)が、被用者がその事業の執行について第三者に損害を加えた場合に、それを賠償する責任のことを言います。
では、社員が会社の車を業務時間外に無断使用して事故を起こした場合でも、会社は責任を負うのでしょうか。
社員の身勝手な行為による事故であり、会社が責任を負うのは酷だとお考えになるかもしれませんが、このような場合でも、会社の責任を認めるケースが多くなっています。
企業の発展とともに使用者の責任は広く解釈されるようになり、会社が責任を負う要件である「社員の行為が『会社の業務(事業の執行)』」と言えるかどうかは、外観から判断されるようになっています。
したがって、たとえ、時間外の無断使用であっても、外観上は、業務中の運転と区別が付かず、会社の業務を執行しているのと同様ですので、被害者保護の観点から、会社は責任を負うことが多いと考えられます。
社員の言動に対する会社の責任範囲は広くなっていますので、社員の教育、管理監督等の社内体制を十分に整備しておくことが大切です。
番組内容の概要
番組では、社員が起こした不祥事に関する会社の責任について、使用者責任と運行供用者責任を、最近の裁判例とともにご説明しました。
また、社員である家族が起こした事故、雇用関係のない者が起こした事故、個人の車が通勤中に起こした事故に関して、会社の責任の有無及び内容、その他、会社の教育、管理監督等の社内体制の整備のコツについてお話ししました。
内容の概要は、以下のとおりです。
社員による会社の業務時間外の事故について、会社は責任を負うの?
・使用者責任とは
・運行供用者の責任とは
・業務中の事故の場合
・業務時間外の無断運転による事故の場合
・最近の裁判例
会社の責任はどこまで?
・社員である家族が起こした事故は?
・雇用関係のない者が起こした事故は?
・個人の車が通勤中に起こした事故は?
・会社の教育、管理監督等の社内体制の整備のコツ
その他、会社が気を付けておくこと
今後とも宜しくお願い致します。