ラジオ(FMあまがさき、「中西優一郎のLaw・and・Order」の第13回目)に出演させていただきました。
「社員が痴漢で逮捕…どう対応したらいい?」というテーマをもとに、お話ししました。
社員が痴漢で逮捕されたと報告を受けたら、会社として、どのように対応したらいいでしょうか。
この場合、逮捕されたことを以って、社員をすぐに解雇するなど処分を急ぐことは避けるべきです。
近年、痴漢の冤罪事件等も増えており、拙速に処分をして、後日、無実であることが判明すれば、その社員から解雇処分の取消し、未払い賃金支払い等の裁判を起こされる可能性があります。
特に、本人が容疑を認めていない場合は慎重に対応する必要があります。
当面は社員に有給を取ってもらう、起訴により長期化すれば休職扱いにすることも視野に入れ、捜査・公判の状況をみながら検討することになります。
また、最終的に、裁判で有罪となった場合は、懲戒処分の可否が問題となります。
職場外における職務行為と関係のない行為に関しては、懲戒処分はできないのが原則ですが、刑事事件において、社員の行為により、会社が社会的な名誉や信用を失い、企業秩序の維持が損なわれる場合、懲戒処分ができると考えられています。
懲戒処分を検討するに際しては、事件の経緯(常習性、悪質といえるか等)、社員の反省の姿勢(被害弁償、示談の有無、更生の可能性等)、事業運営への影響、会社の名誉・信用の損傷の程度(新聞・テレビ等のメディア報道の有無・内容、取引先への認知の有無等)を考慮して、懲戒処分の内容を判断することになります。
他方、無罪となった場合は、社員が迅速に職場復帰できるよう、支援する必要があります。
番組内容の概要
番組では、痴漢で逮捕された社員への対応に関して、会社として、逮捕・勾留、起訴、公判の各段階での取扱い方法、有罪となった場合の懲戒処分の可否・内容、判断基準、最近の裁判例、その他会社が気を付けておくことなどについてお話ししました。
内容の概要は、以下のとおりです。
逮捕された社員に、会社はどう対応したらいい?
・刑事手続の流れ
・逮捕段階の取扱い
・勾留段階の取扱い
・起訴段階の取扱い(起訴休職の適用の注意点)
・公判段階の取扱い
有罪となった場合、どうする?
・懲戒処分の可否
・懲戒処分の内容
・懲戒処分を検討する際の判断基準
・最近の裁判例
・無罪となった場合の取扱い(円滑な職場復帰の支援)
その他、会社が気を付けておくこと
今後とも宜しくお願い致します。