ラジオ(FMあまがさき、「中西優一郎のLaw・and・Order」の第11回目)に出演させていただきました。
「夫に多額の借金が判明…離婚できる?」というテーマをもとに、お話ししました。
ある日、夫に届いた郵便物を開封したところ、夫がサラ金から多額の借金をしていることが判明。妻は、夫がこれまで借金について何も話をしてくれなかったことに不信感を持ち、離婚を決意。このような場合、夫の借金を理由に離婚することはできるのでしょうか。
この点、夫が離婚に応じて、夫婦間で話し合いがまとまれば、もちろん、離婚することは可能です(これを協議離婚といいます。)。
夫が離婚に応じない場合、つまり、協議離婚ができない場合には、最終的には裁判手続を経ることになりますが、裁判で離婚が認められるためには、裁判上の離婚原因がなければなりません。
実務上、単に夫に借金があるという理由だけでは、裁判上の離婚原因には当たらないとされています。
裁判例においても、夫の借金を発端として、夫婦生活が破綻したといえる段階に至って、はじめて離婚を認めているケースが多いです。
具体的には、勤労意欲もなく妻の制止を振り切り何度も借金を繰り返して浪費をする、借金の厳しい取り立てに遭い平穏な生活が送れない、生活費も入れず家庭を顧みないで毎日ギャンブルをしているなど、夫婦生活が破綻して修復不可能な状態にまでなった場合が考えられます。
なお、夫が遊興費の目的で借り入れた借金について、妻は、保証人になっていない限り、夫の借金を返済する義務はありません。
番組内容の概要
番組では、夫の借金を理由とした離婚の可否に関して、裁判上の離婚原因、過去の裁判例を中心に、その他、夫の借金の返済義務の有無、夫と離婚した場合又は夫が亡くなった場合の借金の行方、借金が判明した場合に気を付けておくことなどについてお話ししました。
内容の概要は、以下のとおりです。
夫の借金を理由に離婚できる?
・協議離婚
・調停離婚
・裁判離婚
・裁判上の離婚原因
・過去の裁判例
夫の借金を返済する必要はあるの?
・保証人、連帯保証人の有無
・日常家事債務
・夫と離婚した場合の借金の行方
夫が亡くなったら借金はどうなるの?
・夫と離婚している場合
・夫と婚姻が継続している場合
・単純承認
・限定承認
・相続放棄
その他、借金が判明した場合に気を付けておくこと
今後とも宜しくお願い致します。