ご依頼者;20代男性、会社員
事故年;平成22年
解決年;平成24年
傷病名;頭部外傷等
後遺障害等級;併合6級
交通事故の発生状況
平成22年、ご依頼者(20代男性・会社員)が、道路を横断中、自動車にはねられました。
ご相談・ご依頼のきっかけ
ご依頼者は、医師の診断の結果、頭部外傷により、脳挫傷が認められ、びまん性軸索損傷を窺わせる所見がありました。
また、事故から1年以上経過して症状固定した後も、物忘れ、仕事ができない、ミスが多い、行動を計画したり、正確に遂行することができないなど、社会生活・日常生活に著しい支障がありました。
ご依頼者は、保険会社との対応を続けることが負担となり、当事務所にご相談にいらっしゃいました。
当事務所の活動
ご依頼者は、被害者請求により、高次脳機能障害等で後遺障害併合6級を取得しました。
そして、当該等級結果をもとに保険会社と示談交渉を行いました。
保険会社は、後遺障害の逸失利益に関して、基礎収入につき実収入で算出すると主張してきました。しかし、実収入は賃金センサスより低額でした。
そこで、当事務所は、三庁共同提言(東京・大阪・名古屋地裁の「交通事故による逸失利益の算定方式についての共同提言」(判例タイムズ1014号))を根拠に、基礎収入は、全年齢平均の賃金センサスとするよう、主張しました。
三庁共同提言では、比較的若年の被害者(事故時概ね30歳未満)で、生涯を通じて全年齢平均賃金額又は学歴別平均賃金額程度の収入を得られる蓋然性が認められる場合については、基礎収入を全年齢平均賃金額又は学歴別平均賃金額によるとされています。
被害者は、事故当時、被害者と同年齢(同年代)の平均より高い賃金を実際に獲得していたことから、生涯を通じて全年齢平均賃金程度の収入を得られる蓋然性が認められると主張しました。
その結果、後遺症逸失利益の基礎収入は、全年齢平均の賃金センサスとすることが認められました。
以上の経緯を経て、平成24年に損害賠償金約2200万円を獲得して解決することができました。
当事務所が受任した結果
後遺障害等級併合6級を取得。
後遺症逸失利益の基礎収入は、全年齢平均の賃金センサス。
後遺症逸失利益の喪失期間に関して、67歳まで。
当事務所による解決のポイント
後遺症の逸失利益の基礎収入については、原則として事故前の現実収入を基礎としますが、将来、現実収入額以上の収入を得られる立証があれば、その金額が基礎収入となると考えられています。また、現実収入額が賃金センサスの平均賃金を下回っていても、将来、平均賃金程度の収入が得られる蓋然性があれば、平均賃金を基礎収入として算定すればよいと考えられています。
当事務所は、三庁共同提言(判例タイムズ1014号))をベースに、事故当時、被害者が同年齢(同年代)の平均より高い賃金を実際に獲得していたことなど、被害者が生涯を通じて全年齢平均賃金程度の収入を得られる蓋然性が認められることを複数の証拠で提出し、丁寧に立証を重ねたことが、迅速な解決につながったと考えております。
症状固定時から約10ヶ月での解決となりました。