外国人雇用は、会社の理念を実現するための手段
近年、日々の暮らし、職場等で外国人労働者に接する機会が増えており、テレビ、新聞等のメディアでも、企業が国際競争力を維持し、発展していくためには、外国人雇用が必要不可欠であるなどと論評されているのをよく耳にします。
しかしながら、このような世間の風潮を何となく鵜呑みにし、外国人雇用の目的が明確に定まらないまま、採用を始めてはいけません。
あくまで、外国人雇用は、会社の理念を実現するための手段に過ぎません。外国人を雇用すること自体が目的にはなりません。
まずは、外国人を雇用する目的を、社内で明確にしておくことが大切です。
外国人雇用は、日本人労働者と異なる特別の手続、配慮を要し、外国人労働者を受け入れる社内体制を導入し、整備するまで、時間と手間がかかります。
外国人雇用を軌道に乗せるまでは、会社にとって、入管業務の手続等、面倒な業務が増えますし、外国人に仕事のやり方のみならず、日本での暮らし方等も含めて、繰り返し指導、教育をしなければならず、会社の戦力に育てるため我慢する日々が続きます。
したがって、社内で、外国人雇用の目的を明確にし、それが会社の理念に適うことを十分確認した上で実施しないと、軌道に乗せる前に、耐えきれず、途中で辞めてしまうことになりかねません。
実際に、外国人雇用を始めた企業が、外国人労働者の社内管理が上手くいかず、外国人労働者との意思疎通の行き違い、文化・慣習の違いから発生するトラブルの対応に嫌気がさして、途中であきらめた事例を多く見てきました。
外国人雇用のメリットを享受できるまで我慢する忍耐力を支えるもの、それは、社内で確認し合って決定した目的、「なぜ、自社に外国人労働者が必要なのか? 外国人労働者を雇用して、何をしたいのか?」になりますので、まずは、目的を明確にしておくことが大切です。
外国人雇用の目的は、できる限り具体的に定めて、社内全体で共有する
では、具体的に、外国人雇用の目的には、どのようなものがあるのでしょうか。
当然のことながら、各会社の理念、業種、規模、経営状況によって異なります。
例えば、優秀な人材を確保するため、海外の取引先に関する業務を行わせるため、自社の海外法人に関する業務を行わせるため、外国人としての感性・国際感覚等の強みを発揮してもらうため、日本人社員への影響も含めた社内活性化のため、日本では確保しにくくなった専門分野の人材を補うためなど、様々あると思います。
これらの目的を決める際は、外国人労働者を、雇用後、どこの部署に配属して、どのような業務を担当させて、これによりどのような効果を狙い、どれくらい売上を向上させるかなど、数値化、図式化して、できる限り具体的に定め、社内全員で確認し合い、認識を共有しておくことが大切です。