メリットとデメリットがあることを理解しておく
「外国人雇用の現状はどうなっているの?」で述べたとおり、日本国内における外国人雇用は、長期的に増加する傾向にあります。これに伴い、今後、初めて、外国人労働者を雇用する企業も多くなるものと思われます。
外国人雇用を検討する場合、そのメリットとデメリットを事前に頭に入れておくと、自社の外国人雇用の目的を明確にする上で役に立ちます。
外国人雇用の目的は企業によって様々ですが、メリット・デメリットを理解しておくことにより、外国人雇用の目的が自社の理念に適っているかを確かめ、自社の方向性を決める際の参考になります。
以下、外国人雇用について、(i)日本企業にとってのメリット・デメリット、(ii)日本社会にとってのメリット・デメリットをご説明します。
メリットは?
まず、(i)日本企業にとってのメリットは、製造業等、現場の人材が不足している業種において、外国人労働者により労働力を補完できる点が挙げられます。
また、近年、国内市場の成熟に伴い、中国、インド、ASEANといった新興国市場を始めとした海外市場に進出する日本企業が増えている中、国際化に対応し競争力を維持するため、各々の国の文化に精通し、高い語学力を有する外国人を採用するメリットもあります。
すなわち、外国人労働者を海外市場の担当窓口にすることにより、現地の信用を得られてコミュニケーションが円滑になる、外国人労働者からその国の文化・慣習の情報を取得できる、外国人労働者のネットワークを活用できるなどのメリットがあります。
さらに、高度な技術・技能を持つ外国人を雇用することにより、優秀な人材を社内に確保できる、異文化の人材を導入することで日本人にはない発想を期待でき、企業活動の活性化につながるなどのメリットもあります。
他方、(ii)日本社会にとってのメリットは、少子高齢化に伴い、労働力人口の減少が予測される中、外国人労働者を新たな労働力として期待できる、外国人労働者を受け入れることで、国際交流が推進し、国際的な経済活動の基盤となることなどが考えられます。
デメリットは?
まず、(i)日本企業にとってのデメリットは、外国人雇用は、日本人労働者と異なる特別の手続、配慮が必要とされ、外国人労働者を受け入れる社内体制を導入し、整備するまで、時間と手間がかかる点が挙げられます。
他方、(ii)日本社会にとってのデメリットは、外国人労働者が多数浸透することにより日本人の雇用機会が減少する、地域社会における文化・習慣の違いに基づく摩擦の発生、不法就労、犯罪の増加等が考えられます。