相続人Aさんは、父親が経営するお店を長年、手伝ってきました。他の兄弟は、早くから親元を離れて遠方で生活していました。
父親が亡くなった場合、Aさんの貢献は相続において考慮されないのでしょうか。
寄与分とは
寄与分とは、被相続人の生前、その財産の維持又は増加に特別の貢献をした相続人に与えられるものです。
被相続人の財産の維持又は増加に特別の貢献をした相続人とそのような貢献のない他の相続人を同様に扱い、法定相続分どおりに分配するのは、実質的にみて公平ではないことから認められた制度です。
特別の貢献をした相続人は、法定相続分に、寄与に相当する額を加えた財産の取得が認められます。
寄与分が認められるのは、①被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、②被相続人の療養看護その他の方法により、被相続人の財産の維持又は増加につき特別の寄与をした共同相続人になります。
寄与分は相続人に与えられるものであり、家業を手伝っていたとしても、長男の妻などには認められません。
寄与分の決め方
寄与分を認めるかどうかは、相続人間の協議によります。
協議がまとまらないときは、寄与分を定める調停・審判の申立てをして、家庭裁判所に決めてもらうことになります。