Aさんには、妻と3人の息子がいますが、次男は親に暴力を振るったり家の金を持ち出したり、非行が絶えません。Aさんは、親不孝な次男には財産を一切残したくないと思っていますが、このようなことはできるのでしょうか。
廃除について
このような場合、まず、遺言を書いて次男の相続分をゼロにすることをお考えになるかもしれません。
しかしながら、次男には遺留分がありますので、次男が遺留分減殺請求をすれば、この事案では全財産の12分の1は次男のものになります。
これでは、次男にも財産を残すことになってしまい、Aさんの考えは実現できません。
そこで、次に、次男に財産を一切残さない手段として、「廃除」という制度を用いることが考えられます。
「廃除」とは、相続人となる者に、被相続人に対する虐待、侮辱、非行等がある場合、被相続人の請求に基づいて、家庭裁判所の手続により、その者の相続権をはく奪する制度です。
この「廃除」が認められれば、次男の相続権をはく奪して相続人でないようにすることができ、次男に財産を残さないことが可能となります。
「廃除」の方法は、被相続人が生前に家庭裁判所に申し立てる方法と、遺言による方法との二つがあります。
廃除された人の相続分の取扱い
では、廃除された人の相続分はどこに行くのでしょうか。
例えば、被相続人の死亡で、その子が相続廃除された場合、その子に子ども(被相続人からは孫)がいるときには、この孫が代襲相続します。すなわち、親不孝な息子に相続させたくないと思っていても孫が代襲して相続することになります。
また、廃除された者に子どもがいない場合は、その廃除された相続人がいないものとして、相続分に従い分割して相続されることになります。