Aさん(75歳)は奥さん(70歳)と二人暮らしで、お子さんはいません。
Aさんは、「子どもが大勢いたら、子どもたちが相続でもめないために遺言を残しておいたほうがいいけど、ウチは子どもがいないから、遺言なんて必要ない。」と考えています。
これは本当でしょうか。
夫婦の間に子どもがいない場合、遺言は特に必要
遺言のないときは、民法の定める法定相続分にしたがって遺産を分けることになります。
夫婦の間に子どもがいない場合、法定相続となると、夫Aさんが亡くなったら、「妻」が4分の3、夫Aさんの「兄弟」が4分の1の割合で分けることになります。
すなわち、夫婦で築いた財産を、財産形成には関係ない兄弟にも配分することになります。また、兄弟のうち亡くなっている方がいれば、その子ども、すなわち甥や姪が相続人となります(代襲相続といいます)。
通常は、長年連れ添った妻に財産を全部相続させたいと思う方が多いのではないかと思います。
そうするためには、遺言をしておくことが絶対必要なのです。
兄弟には、遺留分がありませんので、遺言さえしておけば、財産を全部妻に残すことができます。
したがって、子どものいない夫婦の場合、遺言は特に必要となります。