パート契約の更新の注意点を弁護士が解説(更新する場合としない場合のポイント)

 

パートの有期雇用契約では、契約更新の手続きで重要なポイントが多くあります。

雇用期間の定めのない正社員であれば入社時に雇用契約を締結すると、その後は雇用形態の変更がない限り雇用契約を更新することはないのですが、パートの有期雇用契約の場合、当初締結した雇用期間が満了する場合、再契約をするのか、再契約をしないのか判断をする必要があります。

その判断によって、必要な手続き、注意点が異なります。

以下、説明します。

更新する場合の注意点

更新する場合は、再度、雇用期間を定めた労働条件通知書又は雇用契約書を締結します。

まず、前提として、有期雇用契約の場合、契約を更新する可能性の有無、更新する場合の条件などを明記する必要があります。

そして、更新する場合は、必ず、再度、労働条件通知書又は雇用契約書を締結することを忘れないようにして下さい。

実務上、注意すべきケースは、当初の雇用期間が終了しても、更新等の手続きをすることなく、そのまま雇用が継続されている場合です。

この場合、「以前と同じ労働条件にて、期間の定めのない雇用契約が締結された」と判断される可能性があります。

そのように判断されると、例えば、前回の契約の期間が6ヶ月だったからといって、「契約更新とみなした日から6ヶ月後に契約終了」とすることが出来なくなってしまいます。

毎回、更新手続きをすることが煩雑などの理由で省略してしまいがちですが、大きなリスクを抱えることになるので注意して下さい。

パートの有期雇用契約労働者の雇用契約期間がいつからいつまでなのかを社内でしっかり把握し、上記の手順を状況に応じて実施する必要があります。

なお、更新の際には、会社の評価基準に基づいて、当該パート従業員の評価を記載すると良いでしょう。

良い点は評価してモチベーションを高め、改善点は指摘して育成して行きましょう。

後述のとおり、更新の手続・実態(契約更新時における手続の厳格性の程度)は、雇止めの可否の判断要素とされていますので、更新手続の有無・時期・方法、更新の可否の判断方法等は十分注意する必要があります。

更新しない場合の注意点

更新しない場合は、原則として、期間満了で終了となります。

但し、後述のとおり、契約を更新する際の判断基準を明示していない、従前の更新の手続きをしていない場合など状況に応じて、雇止めが無効となる可能性があるので(通常の解雇同様の手続きが必要)、慎重に判断する必要があります。

契約が3回以上更新されていたり、1年を超えて継続して雇用されたりしている労働者を雇止めする場合は、少なくとも契約満了の30日前までに雇止めの予告を行い、労働者が求める場合は更新拒否の理由を記載した証明書を交付しなければなりません(雇止めの予告)。

また、平成25年4月1日以降に開始した有期労働契約が更新されて通算5年を超えた場合は、労働者が使用者に申し込めば、期間の定めのない労働契約に転換します(無期労働契約へ転換・5年ルール)。

なお、契約更新の有無や更新の判断基準は、口頭だけでなく、労働条件通知書などの書面によって、労働者に対して明示する必要があります。

雇止めの判例傾向

雇止めについて争われた従前の裁判例を検討すると、概ね、以下の6つの判断要素を用いて当該契約関係の状況を総合的に判断しています(①業務の客観的内容、②契約上の地位の性格、③当事者の主観的態様、④更新の手続・実態、⑤他の労働者の更新状況、⑥その他)。

民法の原則どおり契約期間の満了により当然に契約関係が終了するものと判断した事案ばかりではなく、契約関係の終了に制約を加え、解雇に関する法理の類推適用等により雇止めの可否を判断し、結果として雇止めが認められなかった事案も少なくありません。

また、裁判例について類型化を試みると、有期労働契約を以下の4つのタイプに分けることができ、各々のタイプごとに判断要素に関する状況や雇止めの可否について一定の傾向が見られます。

以下、厚生労働省の公表資料を参照してまとめています。

判断要素

①業務の客観的内容

従事する仕事の種類・内容・勤務の形態(業務内容の恒常性・臨時性、業務内容についての正社員との同一性の有無等)

②契約上の地位の性格

・地位の基幹性・臨時性(嘱託・非常勤講師等)

・労働条件についての正社員との同一性の有無

③当事者の主観的態様

継続雇用を期待させる当事者の言動・認識の有無・程度等(採用に際しての雇用契約の期間や、更新ないし継続雇用の見込み等についての雇主側からの説明等)

④更新の手続・実態

・契約更新の状況(反復更新の有無・回数、勤続年数等)

・契約更新時における手続の厳格性の程度(更新手続の有無・時期・方法、更新の可否の判断方法等)

⑤他の労働者の更新状況

同様の地位にある他の労働者の雇止めの有無等

⑥その他

・有期労働契約を締結した経緯

・勤続年数・年齢等の上限の設定等

契約関係の状況

①期間満了後も雇用関係が継続するものと期待することに合理性は認められないもの(純粋有期契約タイプ)

・業務内容が臨時的な事案があるほか、臨時社員など契約上の地位が臨時的な事案が多い。

・契約当事者が期間満了により契約関係が終了すると明確に認識している事案が多い。

・更新の手続が厳格に行われている事案が多い。

・同様の地位にある労働者について過去に雇止めの例がある事案が多い。

代表的な裁判例

亜細亜大学事件

(東京地裁昭60(ワ)5740号昭63・11・25判決)

原則どおり契約期間の満了によって当然に契約関係が終了するものとして、雇止めの効力は認められる。

②期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態に至っている契約であると認められたもの(実質無期契約タイプ)

・業務内容が恒常的であり、更新手続が形式的な事案が多い。

・雇用継続を期待させる使用者の言動が認められる事案が多い。

・同様の地位にある労働者について過去に雇止めの例がほとんどない事案が多い。

代表的な裁判例

東芝柳町工場事件

(最高裁第一小法廷昭45(オ)1175号昭49・7・22判決)

解雇に関する法理の類推等により契約関係の終了に制約

ほとんどの事案で雇止めは認められていない。

③雇用継続への合理的な期待が認められる契約であるとされ、その理由として相当程度の 反復更新の実態が挙げられているもの(期待保護(反復更新)タイプ)

・業務内容が恒常的であり、更新回数が多い。

・業務内容が正社員と同一でない事案、同様の地位にある労働者について過去に雇止めの例がある事案がある。

代表的な裁判例

日立メディコ事件

(最高裁第一小法廷昭56(オ)225号昭61・12・4判決)

解雇に関する法理の類推等により契約関係の終了に制約

経済的事情による雇止めについて、正社員の整理解雇とは判断基準が異なるとの理由で、雇止めを認めた事案がかなり見られる。

④雇用継続への合理的期待が、当初の契約締結時等から生じていると認められる契約であるとされたもの(期待保護(継続特約)タイプ)

・更新回数は概して少なく、契約締結の経緯等が特殊な事例が多い。

代表的な裁判例

福岡大和倉庫事件

(福岡地裁昭62(ワ)3383号平2・12・12判決)

解雇に関する法理の類推等により契約関係の終了に制約

雇止め法理の法定化(労働契約法19条)

雇止めについては、労働者保護の観点から、過去の最高裁判例により一定の場合にこれを無効とする判例上のルール(雇止め法理)が確立しています。

法改正により、雇止め法理の内容や適用範囲を変更することなく、労働契約法に条文化しました(労働契約法19条)。

対象となる有期労働契約

次の(1)、(2)のいずれかに該当する有期労働契約が対象になります。

(1)過去に反復更新された有期労働契約で、その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの

(最高裁第一小法廷昭和49年7月22日判決(東芝柳町工場事件)の要件を規定)

(2)労働者において、有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められるもの

(最高裁第一小法廷昭和61年12月4日判決(日立メディコ事件)の要件を規定)

要件と効果

上記の(1)、(2)のいずれかに該当する場合に、使用者が雇止めをすることが、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」は、雇止めが認められません。

従前と同一の労働条件で、有期労働契約が更新されます。

企業に必要な対策

契約社員の雇い入れの際に、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」(同年厚生労働省告示357号)に従って、「契約更新の有無」や「更新する場合の判断基準」を明確に定めておく必要があります。

また、日頃から、パートの契約社員が契約期間の満了を迎える際には、その都度、更新の是非を上記で定めた判断基準に従って決定するようにしておくべきです。

そして、契約を更新するのであれば、契約社員との間で、その都度、改めて契約書を交わすという作業を怠らないことは不可欠です。

つまり、「会社として契約更新を厳格に行っている」という実態が重要になります。

雇止めに際して予告義務が生じる場合は(たとえ初回であろうと、契約期間が1年を超えている場合には、予告義務が生じます。)、これを忘れないことも大切です。

パート更新手続きは弁護士法人アルテにお任せください! 阪神尼崎駅すぐ

パート(有期雇用契約)の更新は、どのような時に雇止め法理が適用され、また逆に適用されないのかを十分に理解した上で、雇用関係を締結することがより重要になってきます。

大きなトラブルにならないよう、パートの更新手続きは、雇用契約書の内容、更新の時期・方法、更新の可否の判断方法等に関して、弁護士等の専門家に事前にご相談されると安心でしょう。

企業法務は専門性が高く、企業法務を取り扱う事務所で十分な経験を積み、会社法務の実務を数多く取り扱った弁護士でないと、実務に即したアドバイスがなかなか難しいのが現状です。

弁護士法人アルテは、企業法務(会社法務)を取り扱う法律事務所で多くの経験を積んだ弁護士が在籍し、契約書の作成・チェックを毎月多く請け負うなど、ノウハウが蓄積されています。

主に、コーポレート、M&A、労働、ファイナンス等を取り扱っています。

顧問契約は、現在、不動産、医療、介護、製薬、美容外科、製造、飲食、建設、ITなど、20社以上の企業様にご利用いただいています。

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