民法改正「請負契約」

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債権関係規定(債権法)に関する改正民法が2017年5月に成立し、2020年を目途に施行されることとなりました。

契約に関する規定の大半は明治29(1896)年の民法制定から変わっておらず、今回の改正は、民法制定以来、約120年ぶりに抜本改正されます。

改正は、約200項目に上り、様々な生活の場面に影響が及ぶ身近なルール変更が多いです。

その特徴は、インターネット取引の普及などの時代の変化に対応し、消費者保護に重点を置いていることです。

以下、改正の内容である「請負契約」について説明します。

 

未完成の場合の報酬請求

請負契約で、以下の場合に、未完成でも可分な部分で注文者が利益を受けるときは、利益の割合に応じて報酬請求が可能になりました(改正民法634条)。

・ 注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなったとき。

・ 請負が仕事の完成前に解除されたとき。

なお、注文者に帰責事由があるときは全額請求できます(改正民法536条2項)。

 

※ 改正民法 第634条

(注文者が受ける利益の割合に応じた報酬)

第六百三十四条

次に掲げる場合において、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなす。この場合において、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。

一 注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなったとき。

二 請負が仕事の完成前に解除されたとき。

 

 

請負人の担保責任

請負人の担保責任は、原則として、売買契約の売主の担保責任の規定が準用されます(民法559条)。

改正民法により、瑕疵担保責任から契約内容不適合責任になります。

現行民法では、売買の目的物について数量不足などがある場合や瑕疵がある場合に損害賠償・解除を認める規定が設けられています。

売主の責任の法的性質について、

①債務不履行責任の特則と捉える見解(契約責任説)

②売買の目的物である特定物に瑕疵があった場合の救済を認めるための特別な責任と捉える見解(法定責任説)

があります。

これまで実務では、上記②の法定責任説により運用がされていました。

改正民法では、この考え方を改め、契約責任説を前提とした改正が行われています。

売買の目的物が種類・品質・数量に関して契約の内容に適合しない場合の損害賠償・解除については、債務不履行の一般原則に従うとされています。

改正民法では、現行民法の瑕疵担保責任(法定責任説)は廃止され、特定物売買か否かで分けることなく、目的物が契約内容から乖離していることに対する責任(契約不適合責任)が新たに規定されました。

契約不適合責任は、これまで通説とされていた法定責任ではなく、債務不履行責任として整理されることになり、契約一般についての債務不履行責任との関係では、売買の場合についての特則として位置づけられることになります。

 

目的物が土地工作物の場合

現行民法では、目的物が土地工作物の場合、注文者からは解除できないとされていました(現行民法635条但し書き)。

改正民法により同条が削除され、注文者からも解除が可能になりました。

また、担保責任存続期間の特則に関して、現行民法では、木造の建物は5年、コンクリート造、金属造の建物は10年とされていました(現行民法638条)。

改正民法により同条が削除され、注文者がその不適合を知った時から一年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができないとされました(改正民法637条)。

 

※ 改正民法 第637条

(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)

第六百三十七条

前条本文に規定する場合において、注文者がその不適合を知った時から一年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。

2 前項の規定は、仕事の目的物を注文者に引き渡した時(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時)において、請負人が同項の不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、適用しない。

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