民法改正「契約不適合責任」

債権関係規定(債権法)に関する改正民法が2017年5月に成立し、2020年を目途に施行されることとなりました。

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契約に関する規定の大半は明治29(1896)年の民法制定から変わっておらず、今回の改正は、民法制定以来、約120年ぶりに抜本改正されます。

改正は、約200項目に上り、様々な生活の場面に影響が及ぶ身近なルール変更が多いです。

その特徴は、インターネット取引の普及などの時代の変化に対応し、消費者保護に重点を置いていることです。

以下、改正の内容である「契約不適合責任」について説明します。

契約不適合責任

・現行法 … 隠れた瑕疵があったときの責任

・改正法 … 契約の内容に適合しないものであるときの責任

 

現行民法では、売買の目的物について数量不足などがある場合や瑕疵がある場合に損害賠償・解除を認める規定が設けられています。

売主の責任の法的性質について、

①債務不履行責任の特則と捉える見解(契約責任説)

②売買の目的物である特定物に瑕疵があった場合の救済を認めるための特別な責任と捉える見解(法定責任説)

があります。

これまで実務では、上記②の法定責任説により運用がされていました。

改正民法では、この考え方を改め、契約責任説を前提とした改正が行われています。

売買の目的物が種類・品質・数量に関して契約の内容に適合しない場合の損害賠償・解除については、債務不履行の一般原則に従うとされています。

改正民法では、現行民法の瑕疵担保責任(法定責任説)は廃止され、特定物売買か否かで分けることなく、目的物が契約内容から乖離していることに対する責任(契約不適合責任)が新たに規定されました。

契約不適合責任は、これまで通説とされていた法定責任ではなく、債務不履行責任として整理されることになり、契約一般についての債務不履行責任との関係では、売買の場合についての特則として位置づけられることになります。

そのうえで、そのような場合に買主に認められる特別の権利として、履行追完請求権、代金減額請求権などが定められています(改正民法562条・563条)。

買主の権利の明記化

買主の権利について、改正民法は、債務不履行責任に関する売買の特則として整理され、契約不適合の状態に応じて、

①追完請求権(改正民法562条1項)

②代金減額請求権(改正民法563条1項、2項)

が規定されました。

瑕疵担保責任として現行民法でも認められていた解除や損害賠償についても、

③契約の解除(改正民法564条、541条、542条)

④債務不履行による損害賠償(改正民法564条、415条)但し、債務者の帰責事由が要件

として規定されています。

 

※ 改正民法 第562条

(買主の追完請求権)

第五百六十二条

引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。

2 前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。

 

 

※ 改正民法 第563条

(買主の代金減額請求権)

第五百六十三条

前条第一項本文に規定する場合において、買主

が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。

2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、買主は、同項の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。

一 履行の追完が不能であるとき。

二 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。

三 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。

四 前三号に掲げる場合のほか、買主が前項の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。

3 第一項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、前二項の規定による代金の減額の請求をすることができない。

 

 

※ 改正民法 第564条

(買主の損害賠償請求及び解除権の行使)

第五百六十四条

前二条の規定は、第四百十五条の規定による損害賠償の請求並びに第五百四十一条及び第五百四十二条の規定による解除権の行使を妨げない。

 

 

期間制限

・現行法 … 知ってから1年以内の権利行使が必要

・改正法 … 知ってから1年以内に不適合の事実を通知することが必要だが、具体的な権利行使は後で足りる。なお、消滅時効の規定の適用はある。

 

現行民法においては、瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求等について、瑕疵を知ってから1年間という権利行使の期間制限(現行民法566条3項等)があります。

改正民法では、「種類又は品質」に関する契約不適合を認識したにもかかわらず1年間売主に対してその旨の「通知」をしない場合に、買主が失権することとされました(改正民法566条)。

また、「種類又は品質」に関する契約不適合に対し、「目的物の数量」や「権利移転」に関する契約不適合については、改正民法566条の対象とはならず、一般的な消滅時効の定めに従うものとされています。

消滅時効について、現行民法は「権利を行使することができる時から進行」し(現行民法166条1項)、「債権は、10年間行使しないときは、消滅する」(現行民法167条1項)ものとされています。

これに対し、改正民法では、「権利を行使することができることを知った時」(主観的起算点)から5年間行使しないとき、又は「権利を行使することができる時」(客観的起算点)から10年間行使しないときは、時効によって消滅することとなりました(改正民法166条1項)。

 

※ 改正民法 第566条

(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)

第五百六十六条

売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。

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