民法改正「契約解除」

債権関係規定(債権法)に関する改正民法が2017年5月に成立し、2020年を目途に施行されることとなりました。

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契約に関する規定の大半は明治29(1896)年の民法制定から変わっておらず、今回の改正は、民法制定以来、約120年ぶりに抜本改正されます。

改正は、約200項目に上り、様々な生活の場面に影響が及ぶ身近なルール変更が多いです。

その特徴は、インターネット取引の普及などの時代の変化に対応し、消費者保護に重点を置いていることです。

以下、改正の内容である「契約解除」について説明します。

催告による解除

現行民法では、債務不履行を理由とする解除の要件として、債務者の責めに帰すべき事由の存在が必要です(現行民法543条但し書き)。

これに対して、改正民法では、契約不適合責任に基づく解除の要件として、債務者の責めに帰すべき事由は必要とされていません。

契約を解除したい場合、債務者に帰責事由が無くとも催告による契約解除ができます(改正民法541条)。

但し、催告期間経過後に債務の不履行が「契約及び取引上の社会通念に照らして軽微である場合」には契約解除ができないこととされました(改正民法541条但し書き)。

 

※ 改正民法 第541条

(催告による解除)

第五百四十一条

当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。

 

無催告での解除

以下のように、債務の履行が不能である場合、催告をしても契約をした目的を達するに足りる履行がされる見込みがないことが明らかである場合には、催告によらずに契約を解除することができます(改正民法542条)。

・ 履行不能

・ 履行拒絶の意思表示

・ 一部の履行不能・履行拒絶で残存部分のみでは契約目的不達成

・ 特定の日時・一定の期間に履行が必要なのに履行なく経過

・ 催告しても履行の見込みがないことが明らか

但し、改正民法では、債権者の責めに帰すべき事由によって債務不履行が生じた場合には、債権者から契約解除することはできないとされています(改正民法543条)。

すなわち、改正民法により、債務不履行について、債務者の帰責事由は解除の要件ではなくなりましたが、債権者に帰責事由があるときは解除不可となります。

 

※ 改正民法 第542条

(催告によらない解除)

第五百四十二条

次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。

一 債務の全部の履行が不能であるとき。

二 債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。

三 債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。

四 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。

五 前各号に掲げる場合のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。

2 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の一部の解除をすることができる。

一 債務の一部の履行が不能であるとき。

二 債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。

 

※ 改正民法 第543条

(債権者の責めに帰すべき事由による場合)

第五百四十三条

債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は、前二条の規定による契約の解除をすることができない。

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