民法改正「消滅時効の時効期間」

post_228a.jpg債権関係規定(債権法)に関する改正民法が2017年5月に成立し、2020年を目途に施行されることとなりました。

契約に関する規定の大半は明治29(1896)年の民法制定から変わっておらず、今回の改正は、民法制定以来、約120年ぶりに抜本改正されます。

改正は、約200項目に上り、様々な生活の場面に影響が及ぶ身近なルール変更が多いです。

その特徴は、インターネット取引の普及などの時代の変化に対応し、消費者保護に重点を置いていることです。

以下、改正の内容である「消滅時効」について説明します。

未払金の消滅時効の統一

post_228b.jpg現行民法では、債権の消滅時効の時効期間について、原則として権利を行使することができる時から10年とされています(現行民法166条1項、167条1項)。

そして、時効期間の特則として、職業別の区分により、1~3年という短期の時効期間が定められています(現行民法170条~174条)。

また、商法522条には、商行為によって生じた債権について時効期間を5年とするという商事消滅時効の特則が定められています。

今回の改正により、職業別の区分による短期の時効期間と商事消滅時効の特則を廃止したうえで、債権は、原則として、

  1. 債権者が権利を行使することができることを知った時(主観的起算点)から5年間行使しないとき
  2. 権利を行使することができる時(客観的起算点)から10年間行使しないとき

のいずれかに該当する場合に時効によって消滅すると改められています(改正民法166条1項)。

今回の改正は、現行民法の客観的起算点から10年という時効期間に加えて、「債権者が権利を行使することができることを知った時」という主観的起算点から5年という時効期間を適用することとしたうえで、時効期間の統一化を図るものといえます。

なお、生命・身体の侵害による損害賠償請求権の客観的起算点からの時効期間については20年とするなどの特例が定められているほか(改正民法167条)、民法以外の法律に定められている時効期間の特則は維持されているものが多く、すべての時効期間が統一化されたわけではないので注意が必要です。

これまでは、飲食代のツケ払いは1年、弁護士の報酬は2年、医師の診療報酬は3年と、業種などでバラバラの消滅時効が存在していました。

この点、「どの時効が適用されるか分かりにくい」との問題点がありました。

改正法では、原則として「権利を行使できると知ったときから5年」に統一されます。

これにより、飲み屋、スナックの経営者は、ツケ払いの時効が延びるので、支払いを請求できる期間が延びることになります。

契約に基づく債権については、その発生時に債権者が権利を行使できることを知っていることが通常ですので、基本的に主観的起算点と客観的起算点が重なることになり、主観的起算点からの短期の時効期間(5年)が適用されることになると考えられます。

 

※ 改正民法 第166条
(債権等の消滅時効)
第百六十六条
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
2 債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から二十年間行使しないときは、時効によって消滅する。
3 前二項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を更新するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。
※ 改正民法 第167条
(人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効)
第百六十七条
人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第一項第二号の規定の適用については、同号中「十年間」とあるのは、「二十年間」とする。

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