パート(有期雇用)の更新と雇止めで気を付けること

パート(有期雇用)の更新と雇止めで気を付けることは何でしょうか。

契約が3回以上更新されていたり、1年を超えて継続して雇用されたりしている労働者を雇止めする場合は、少なくとも契約満了の30日前までに雇止めの予告を行い、労働者が求める場合は更新拒否の理由を記載した証明書を交付しなければなりません(雇止めの予告)。

また、平成25年4月1日以降に開始した有期労働契約が更新されて通算5年を超えた場合は、労働者が使用者に申し込めば、期間の定めのない労働契約に転換します(無期労働契約へ転換・5年ルール)。

なお、契約更新の有無や更新の判断基準は、口頭だけでなく、労働条件通知書などの書面によって、労働者に対して明示する必要があります。

以下、詳細、説明します。

有期労働契約とは

post_225a.jpg有期労働契約とは、1年契約や6か月契約など、期間の定めのある労働契約を指します。

パート、アルバイト、契約社員、嘱託社員など、その呼び方にかかわらず、契約期間(終期)が決まっていれば、有期労働契約となります。

有期労働契約の期間の長さについて、原則は、上限が3年とされています(労働基準法14条1項)。

但し、法が定める高度の専門的知識等を有する労働者との間に締結される労働契約や、満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約については、特例として、上限が5年とされています(労働基準法14条1項1号、2号)。

(契約期間等)
第十四条 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、三年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあつては、五年)を超える期間について締結してはならない。
一 専門的な知識、技術又は経験(以下この号において「専門的知識等」という。)であつて高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約
二 満六十歳以上の労働者との間に締結される労働契約(前号に掲げる労働契約を除く。)

雇止め法理の法定化(労働契約法19条)

有期労働契約は、使用者が更新を拒否したときは、契約期間の満了により雇用が終了します。

これを「雇止め」といいます。

しかし、契約の更新手続きが形骸化していたり、短期間に反復して契約が更新されたりしている場合などは、雇止めが認められず、労働者との間に、従前の契約と同一条件の有期労働契約が成立することがあります(労働契約法19条)。

雇止めについては、労働者保護の観点から、過去の最高裁判例により一定の場合にこれを無効とする判例上のルール(雇止め法理)が確立しています。

法改正により、雇止め法理の内容や適用範囲を変更することなく、労働契約法に条文化しました(労働契約法19条)。

以下、労働契約法19条の適用について、説明します。

対象となる有期労働契約

次の(1)、(2)のいずれかに該当する有期労働契約が対象になります。

(1)過去に反復更新された有期労働契約で、その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの
(最高裁第一小法廷昭和49年7月22日判決(東芝柳町工場事件)の要件を規定)

(2)労働者において、有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められるもの
(最高裁第一小法廷昭和61年12月4日判決(日立メディコ事件)の要件を規定)

要件と効果

上記の(1)、(2)のいずれかに該当する場合に、使用者が雇止めをすることが、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」は、雇止めが認められません。

従前と同一の労働条件で、有期労働契約が更新されます。

必要な手続

条文化されたルールが適用されるためには、労働者からの有期労働契約の更新の申込みが必要です。

契約期間満了後でも遅滞なく申込みをすれば条文化されたルールの対象となります。

(有期労働契約の更新等)
第十九条 有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。
一 当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。
二 当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。

無期労働契約への転換・5年ルール(労働契約法18条)

post_225b.jpg平成25年4月1日に施行された改正労働契約法18条1項により、平成25年4月1日以後に開始した有期雇用契約が更新されて通算5年を超えた場合に、労働者の申込みがあれば無期雇用契約に転換するという制度(いわゆる「5年ルール」)が導入されました。

通算契約期間の計算については、原則として、有期労働契約の期間が満了してから次の有期労働契約が締結されるまで6か月以上の空白期間がある場合は、いったんリセットされて空白期間後の労働契約から新たに通算契約期間が算定されます(いわゆる「クーリング」)。

このようなクーリングがなされないまま、通算の契約期間が5年を超えた場合に、労働者が無期雇用契約への転換を申し込むと、申込み時の有期労働契約が終了した翌日から、別段の定めがない限り、直前の有期労働契約と同一の労働条件により無期労働契約が成立します。

別段の定めをすることにより、変更可能です。
「別段の定め」とは、労働協約、就業規則、個々の労働契約(無期転換に当たり労働条件を変更することについての労働者と使用者との個別の合意)が該当します。

転換後の無期労働契約については、労働協約・就業規則・個々の労働契約等により、無期転換前と異なる労働条件を定めることができます。

無期転換後の社員区分や労働条件については、会社の状況に応じて様々なものが考えられます。例えば、以下の例などが考えられます。

  • 契約期間のみを無期とし、その他の労働条件は直前の有期労働契約時と同一とする方法
  • 無期転換者を、既存または新設の多様な正社員区分(職務限定社員、エリア社員等)に移行させ、その区分の労働条件を適用する方法
  • 無期転換者を既存の正社員に移行させ、正社員と同等の労働条件を適用する方法

無期転換者が担当する業務を想定しながら、5年ルールによる無期労働契約への転換が本格化する前に、就業規則などの整備を行うことが必要です。

なお、使用者は、労働者の申込みを拒絶することはできませんし、無期転換を申し込まないことを契約更新の条件とするなど、あらかじめ労働者に無期転換申込権を放棄させることもできません。

また、定年後の再雇用社員・嘱託社員についても5年ルールは適用されます。

(有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換)
第十八条 同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。
2 当該使用者との間で締結された一の有期労働契約の契約期間が満了した日と当該使用者との間で締結されたその次の有期労働契約の契約期間の初日との間にこれらの契約期間のいずれにも含まれない期間(これらの契約期間が連続すると認められるものとして厚生労働省令で定める基準に該当する場合の当該いずれにも含まれない期間を除く。以下この項において「空白期間」という。)があり、当該空白期間が六月(当該空白期間の直前に満了した一の有期労働契約の契約期間(当該一の有期労働契約を含む二以上の有期労働契約の契約期間の間に空白期間がないときは、当該二以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間。以下この項において同じ。)が一年に満たない場合にあっては、当該一の有期労働契約の契約期間に二分の一を乗じて得た期間を基礎として厚生労働省令で定める期間)以上であるときは、当該空白期間前に満了した有期労働契約の契約期間は、通算契約期間に算入しない。

有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準(厚生労働省告示)

有期労働契約については、雇止めに関するトラブルを未然に防止するために、厚生労働省が「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」(平成15年厚労省告示357号)という告示を出しています。

契約締結時の明示事項等

(1)使用者は、有期契約労働者に対して、契約の締結時に、その契約の更新の有無(自動的に更新する、契約する場合があり得る、契約の更新はしない等)を明示しなければなりません。

(2)使用者が、有期労働契約を更新する場合があると明示したときは、労働者に対して、契約を更新する場合又はしない場合の判断の基準を明示しなければなりません。
明示すべき「判断の基準」の具体的な内容については、以下の例などが考えられます。

  • 契約期間満了時の業務量により判断する
  • 労働者の勤務成績、態度により判断する
  • 労働者の能力により判断する
  • 会社の経営状況により判断する
  • 従事している業務の進捗状況により判断する等

(3)使用者は、有期労働契約の締結後に(1)又は(2)について変更する場合には、労働者に対して、速やかにその内容を明示しなければなりません。

そして、上記の事項は、始業及び終業の時刻、休日・賃金などに関する事項と同様、書面による明示が義務づけられています(労働基準法施行規則5条)。

雇止めの予告

使用者は、有期労働契約(有期労働契約が3回以上更新されているか、1年を超えて継続して雇用されている労働者に限ります。なお、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除きます。)を更新しない場合には、少なくとも契約の期間が満了する日の30日前までに、その予告をしなければなりません。

ここで対象となる有期労働契約は、

  • 有期労働契約が3回以上更新されている場合
  • 1年以下の契約期間の労働契約が更新または反復更新され、最初に労働契約を締結してから継続して通算1年を超える場合
  • 1年を超える契約期間の労働契約を締結している場合

です。

雇止めの理由の明示

使用者は、雇止めの予告後に労働者が雇止めの理由について証明書を請求した場合は、遅滞なくこれを交付しなければなりません。また、雇止めの後に労働者から請求された場合も同様です。

明示すべき雇止めの理由は、「契約期間の満了」とは別の理由とすることが必要です。
例えば、以下の例などが考えられます。

  • 前回の契約更新時に、本契約を更新しないことが合意されていたため
  • 契約締結当初から、更新回数の上限を設けており、本契約は当該上限に係るものであるため
  • 担当していた業務が終了・中止したため
  • 事業縮小のため
  • 業務を遂行する能力が十分ではないと認められるため
  • 職務命令に対する違反行為を行ったこと、無断欠勤をしたこと等勤務不良のため等

契約期間についての配慮

使用者は、契約を1回以上更新し、かつ、1年を超えて継続して雇用している有期契約労働者との契約を更新しようとする場合は、契約の実態及びその労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするよう努めなければなりません。

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