医療機関がホームページで虚偽や誇大な表示をするのを規制する改正医療法が平成29年6月7日、参議院本会議で採決が行われ、全会一致で可決され、成立しました。
以下、改正医療法の概要を説明します。
ホームページの誇大広告を規制
脱毛や脂肪吸引などの「美容医療」をめぐる消費者トラブルが相次いでいる現状を踏まえ、医療機関のホームページで虚偽や誇大な内容の広告の掲載を禁止することなどが内容となっています。
これまで、ウェブサイトは利用者が自ら検索して閲覧するため、チラシや看板のような一般人の目に入る広告と区別され、規制の対象外でした。
しかし、国民生活センターによると、「ホームページ掲載の費用より実際の費用が高額になった。」などの相談が、寄せられており、トラブルが増加していました。
そこで、改正医療法では、医療機関の広告のうち、規制の対象外だったホームページで、脱毛や脂肪吸引などの「美容医療」をめぐる消費者トラブルが相次いでいることから、手術の効果を誇張するなど、虚偽や誇大な内容の広告の掲載を禁止することなどが盛り込まれています。
施術効果の誇張などの恐れがあれば、自治体が立ち入り検査などを実施します。
違反を指摘された医療機関が自治体の指導に従わない場合は罰金などが科されます。
特定機能病院の管理体制を強化
そのほか、群馬大学医学部附属病院と東京女子医科大学病院で患者が死亡する事故が相次いだことを踏まえ、高度な医療を提供する「特定機能病院」の管理体制を強化し、病院長の選任に外部の有識者らによる審査を導入し、選任方法の透明化を図ることなどが義務づけられています。
改正法は、特定機能病院の要件を「医療の高度の安全を確保する能力を有すること」と明記しています。
そして、病院の開設者に対し、医療安全の責任を負う病院長の権限明確化、十分な能力と経験がある人物が病院長に選任されるよう合議体の選考会議開催などを義務付けています。
特定機能病院は、大学病院が大半を占めています。