近年、様々な職場で、外国人労働者が増えています。
退職時は、トラブルが生じないよう、適切な対応をすることが重要です。
外国人が自己都合により退職する場合の手続きは、基本的には日本人の場合と同様です。
しかし、外国人の場合、社会保障・税、入管等で特有の手続き、取扱いがあります。
以下、外国人労働者の退職で知っておきたいポイントをご説明します。
退職時の対応は?
外国人労働者が突然、退職を申し出てきたら、どう対応すればよいのでしょうか。
退職は労働者の自由であり、民法では、雇用期間の定めのない場合は、いつでも解約の申入れをすることができ、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了するとされています(民法第627条)。したがって、外国人労働者からの退職の申し入れは2週間前までにすればよいということになります。
もっとも、会社としても業務の引き継ぎ等の時間を確保するため、就業規則で「退職は1ヵ月以上前に申し出をしなければならない」等の規定をおくことが多いでしょう。
この規定の有効性については争いのあるところですが、実務上は、退職の申入れがあった際、この規定を根拠に外国人労働者と協議して、退職日を決めています。
日本の法律上、少なくとも2週間は勤務する必要があることを伝えて話し合い、早めに後任者を選任して業務の引き継ぎをするようにしましょう。
退職時に必要な社内手続きは?
外国人労働者から退職を申し出てきた場合は、後にトラブルとならないよう退職願・退職届を書面で提出してもらいましょう。
退職願・退職届を受け取ったら、退職日を待って労働保険や社会保険の資格喪失処理の手続きをします。
ハローワークには、外国人労働者の退職の届出を行ないます。
その他、会社からの貸与物(制服、鍵、パソコン等)があれば、返却してもらうことを忘れないようにしてください。
外国人労働者が転職した場合は?
転職の場合は、外国人が入国管理局に対し、就労資格証明書交付申請や在留期間更新許可申請等において、源泉徴収票や退職証明書を添付書類として提出する場合があります。
外国人労働者の転職を妨害したといわれないよう、これらの書類は退職後、速やかに発行しましょう。
なお、次の就職先を決めずに退職する外国人労働者については、保有している在留資格が「人文知識」「国際業務」「技術」などの場合、会社を退職し社員としての身分を失うことによって、一定期間は、日本に在留する資格を一時的に失ってしまうことがあります。
在留資格の失効条件については、本人に説明してあげるとよいでしょう。